NC旋盤加工時の変形解析例
1.NC旋盤加工時の変形判断
剛性のあるワークを旋盤加工する際には全く意識しないことでも剛性の低いワークの場合には大きな問題となります。即ち、要求精度を満たすための難易度が高くなり、工数増加、治具費用などコストアップへとつながります。このような変形しやすいワークの場合、CAE静解析による事前検討が有効です。これにより、治具無しでのギリギリの肉厚あるいは、リブを追加することによる剛性アップの検討が可能となります。3DCADデータあるいはdxf データをいただければ無料でCAE静解析いたします。ただし、弊社で取扱い可能な案件に限ります。
チャッキング(把持)の可否判断例
2.チャッキング(把持)の可否判断
設計段階での旋盤加工におけるチャッキング可否の判断は困難が伴います。3DCADデータあるいはdxf データをいただければ無料で加工可否判断いたします。ただし、弊社で取扱い可能な案件に限ります。
特殊形状ー特殊工具の設計製作例
3.特殊形状ー特殊工具の製作判断
設計段階での旋盤加工における工具選択あるいは加工可否の判断は困難が伴います。場合によっては、特殊工具を設計製作する必要が生じます。3DCADデータあるいはdxf データをいただければ無料で加工可否判断いたします。ただし、弊社で取扱い可能な案件に限ります。
NC旋盤加工における最大の課題の一つである「変形」について。 一般にNC旋盤加工は熟練技能者の勘と経験に依存することが多く、中でも特に「変形」についてはNCによる数値制御やNCプログラムで解決できるものではありません。そのため熟練技能者への依存度は顕著と言わざるを得ません。
弊社が取扱う案件は低剛性である場合が多く、約90%以上の案件で変形が関係します。変形は要求精度、ワークサイズ(肉厚含む)、材質などの影響を受けるため、加工前計画および加工中の実機での状況判断が特に重要となります。弊社では従来の過度な属人性を排除すべく、デジタル技術を駆使した加工前計画を行います。これらにより、手戻り防止、品質担保が可能となりお客様に安全・安心品質をご提供いたします。
CAEによる応力・変位解析
1.加工前計画
①CAE(コンピュータシミュレーション)
金属機械加工の変形は、金属の内力あるいは外力の影響を受けます。弊社ではNC旋盤加工におけるチャック圧(外力)による変形量をPC上でCAEにより解析を行います。一般にNC旋盤加工で要求される精度を満たすには弾性変形内での取り扱いであることが多く、即ち静解析を利用します。この結果に基づき、チャッキング方法等の正確な検討を行うことが可能です。ただし、現物とCAEのモデルにはギャップがありCAEの結果を必ずしも鵜呑みにすることはできません。例えば、座屈や接触非線形解析が必要な場合など現実には起こり得ます。このため、静解析に過去の加工実績による統計情報を加えて判断しています。
薄肉アルミ加工時の3DCADによる工程設計例
②3DCADによる工程設計
最終形状が薄肉で各工程における変形が最終工程へ影響を及ぼす場合に3DCADを使用し、各工程でのチャック方法・形状・残し量などを事前に検討します。その際に変形量をCAEで解析することで、最適な工程設計を行うことが可能となります。
弊社が提供するサービスの「品質」について。 一般にNC旋盤加工において要求される品質は主に大きく2つ、寸法公差と幾何公差で構成されます。これらは、機上計測すなわち加工中の作業者による検査(確認)、ならびに加工後のチャッキングフリー状態で主として定盤上で検査されます。この計測についても熟練技能者の勘と経験に依存することが多く、この理由としては、NCによる指令値=寸法精度とならないこと、温度の影響を受けること、チャッキングによるひずみによる影響などの理由が挙げられます。
弊社ではお客様に安心・安全品質をご提供するために、温度および精度を数値的に管理でき、品質への属人性を減らすことを可能とするために光学式計測器を駆使した品質管理を行っています。
レーザートラッカー(本体)
機上計測
加工後の検査
2.機上計測および加工後の検査
①光学式計測器(レーザートラッカー)
本装置(レーザートラッカー)は、測定対象物に単独で接触させるターゲット(球体部)とレーザーを発受信し球体を自動で探索する本体部とで構成されます。本来ボーイングなど航空機向けの大型構造物用の計測装置として開発されたそうですが、その高精度な直進性を活用し、NC旋盤上での機上計測を可能としました。詳細は下記PDFをご参照ください。
ターゲット(球体部)
②機上計測
加工現場において、工作機械精度=加工品質とはならず、要求精度を満たすには工作機外部からの測定手段が必要です。一般に測定手段として、ノギス、マイクロメータが使用されます。弊社では、加工品質のデジタル化あるいは測定技術の非属人性を確保すべく、外部計測器による手段を採用しています。
§コラム【機械加工現場での常識が変わった!?】
NCによる加工現場で「ありがち」なのは、公差部が低い段差のためマイクロメータなどでは計測できない場合に「NCの数値で合わせた」という現場作業者の判断。量産品であれば、専用測定治具などを製作されるケースもあるかもしれませんが、単品・小ロット・単納期には非現実的な手段です。また、測定用に取り代を余分に残すなどの方法もありますが、公差寸法確定後、余分な個所を切削除去すると変形してしまったとかいうケースも多々見られます。現場作業者の判断もやむを得ないかもしれませんが、お客様にそれで納得いただけるでしょうか?
③加工後の検査
ワーク(被加工物)の剛性が低い場合、機上での計測値は変形の影響を受ける場合があります。このため、別途検査が必要となり定盤上での検査が有効です。
「大は小を兼ねる」ということわざがありますが、旋盤については必ずしも該当するとは言えません。この最大の理由は、大きな機械では小さなワークに必要な回転数が得られないことにあります。この回転数不足は加工品質を満たすことができないばかりか、加工時間(即ちコスト)も掛かります。したがって、旋盤加工をする際には、ワークのサイズに対して適正なサイズの旋盤を選ぶ方が合理的です。中型クラスのNC旋盤加工サービスを行っており、取り扱い可能なサイズは次の通りです。
◆外径 φ400 ~φ800 mm
◆全長 L500 mm 以下
◆質量 600 kg 以下
弊社が保有する工作機械は中型NC旋盤のみですが、旋盤工程以外の加工は信頼のおける協力会社に委託させていただきますのでご安心ください。
お問い合わせフォーム入力時には「NC旋盤加工のみ」「全加工」を選択ください。
弊社では一品ものから中量産品まで取り扱い可能です。
※生産性向上の追求により、大型の旋盤加工においても中量産品の低価格化を実現しました。
アルミ(ジュラルミン、A6061他)、ステンレス(SUS304、SUS630他)から肌焼鋼(浸炭焼入)まで幅広い金属の取り扱いが可能です。
材質の違いにより大きく影響を受ける項目としては以下のものが挙げられます。
・被削抵抗
・ヤング率
金属の受ける応力σとひずみεは以下の関係があります。
σ=εE (E:ヤング率)
したがって、ヤング率が小さいほど外力に対し変形が大きいことが分かります。
ヤング率 [MPa](出典:実践 材料力学)
軟鋼 21×10^4
鋳鉄 10×10^4
ジュラルミン 7×10^4
・比重
・熱膨張係数
測定器、ワークは室温やクーラント温度の影響を大きく受け、熱膨張係数の大きいアルミなどは特に注意が必要です。
工場見学のほか、実際に担当者との面談・交渉していただくことが可能です。
設計段階でも旋盤加工あるいはチャッキング可否の判断は困難が伴います。3DCADデータあるいはdxf データをいただければ無料で加工可否判断いたします。ただし、当方で取扱い可能な案件に限ります。
変形しやすいワークの場合、CAE静解析による事前検討が有効です。3DCADデータあるいはdxf データをいただければ無料でCAE静解析いたします。設計・検討段階でも構いません。
必要に応じて、レーザートラッカーによる寸法公差・幾何公差の計測結果あるいは加工表面画像をデータで提供可能です。